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キーレ

ヨアヒム「がっ」

蛮族の投げたスリングが頭部に当たりヨアヒムは昏倒する

「ヨアヒムっ!」と叫ぶヒューゴだが振り返る余裕はない。

ヒューゴ「くそっ!なんなんだ、この数…。」

襲い来る多数の蛮族たち。簡単な蛮族討伐の話しだったが…どうも勝手が違う。

…待ち伏せされたか。



ヒューゴ「こりゃ神様に祈る時間もないな…。」

ガリッ

12使徒と呼ばれるフラスコを前歯で噛みちぎり、ヒューゴは次の標的を目で追う。
前衛の二人…ハインネとザロモンが無数の敵と剣戟を繰り広げているが
数の前に劣勢は明らかだ。


…大将
大将首を獲れば好転するか…。
目を凝らし敵勢の中から大将を探す。


あれか…。


外見の見分けはつかぬ連中だが、
一人だけ周りを叱咤激励している指揮官然のものがいる。
体格も一回り大きく甲冑も蛮族なりに華やかだ。


この距離なら…当たるか…?
ヒューゴは、アルカビュスを構えると呼吸を平らにしながら狙いをつけ、引き金をゆっくりと絞る。



ダーンっ!!



乾いた火薬の音と共に、敵の司令官が軽く仰け反る。
しかし、すぐに体勢を整えると、身を案じ駆け寄る部下たちを再び叱咤する。

(ちっ!!仕損じた)
(ならもう一度…)


装填を終え銃を構える。
狙撃を警戒した部下たちが大将の周りを固めていたが、恵体が災いし隠し切れていない。

(…今度こそっ!)



ダーンッ!



音と共に、派手な兜が宙に舞うのが見えた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ザロモン「やったか…。」
ハインネ「ぜーはーぜーはー」

自分の血か敵の血か分からないが、全身血だらけの二人。
辺りには無数の蛮族の死体が転がっている。

狙撃により大将を喪った蛮族は一気に士気が挫け、そこを戦機と見た二人が
突進したのだ。

ザロモン「こんなにキツイとは…」
ハインネ「…」




勝ったというものの、金羊毛団は勝者のソレには見えなかった。

ハインネ「…大丈夫?ヨアヒム」
ヨアヒム「…。」

ヨアヒムは直撃した投石で、未だに足元が覚束ない。
そんな彼を案ずるハインネも立つのがやっとの有様だ。


まったく惨憺たるものだな…
一人動けるヒューゴは、辺りを警戒する。
警戒する彼の脳裏には、陣頭指揮をしていた敵司令官が浮かんだ。

(あの指揮官、敵ながら天晴だった。)

(できれば墓くらいつくってやりたいが…)

しかし時間も体力も余裕はない。
悪いがこれだけで勘弁してくれ。とヒューゴは胸元で軽く十字を切った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

町へ帰還すると銀200枚を受け取る。
惨憺たる状況に比して安い報酬。

遠い地で我々は何をしているのだろうか…。

ヒューゴは一人ため息をつく。

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